2013年1月18日金曜日

24年度「災害時語学サポーター養成講座」WEB講義-災害時語学サポーターの役割②-

今回も災害時語学サポーターの役割についての記述です。
平成21年度心肺蘇生訓練

少々専門的ですが、災害時語学サポーターになられようとする方には是非理解してほしい内容です。

前回、災害発生後の被災在住外国人の前に立ちはだかる「3つの壁」のうち「②制度の壁」については「日本人から見えにくい在住外国人の制度」と「在住外国人から見えにくい日本の制度」の両側面があります、という記述で終わっていました。

まず、「日本人から見えにくい在住外国人の制度」について書きます。

一連のWEB講義シリーズを最初から読まれている方にはもう既知となっている「在留資格」がこれに該当します。

しかし、一般の日本人は「在留資格」のことを知りません。世間一般では「ビザ」という用語が代用されますが、ビザ(VISA)は「査証」(日本への入国許可証)のことです。

これに対し、「在留資格」は日本での滞在許可証のことで、その滞在目的や属性により27種類の資格があることはこれまでのブログで説明したとおりです。

この種類の違いによって防災意識や災害後に受けられる公的サービスに違いが出ることも説明しました。

「在留資格」を十分理解せずに災害時語学サポーターの活動をしてしまうと、不適切な対応を取ってしまうことになるかもしれません。

例えば、震災後に経済的に困窮した在住外国人を何とか助けてあげようと、仕事を勧めたり生活保護の申請を促しても、その有する在留資格によっては仕事や生活保護の申請が出来なかったりします。

次に「在住外国人から見えにくい日本の制度」ですが、例えば、災害時特有の制度として「応急危険度判定」というのがあります。

応急危険度判定は、震災直後の家屋の傷み具合に応じて赤、黄、または緑のステッカーを貼ることによりその建物の倒壊危険度を周知し余震等による二次被害の防止に役立てるものですが、これを知らずにうっかり赤紙が貼られた住宅に入ろうとして二次災害に巻き込まれる恐れがあります。

また、在住外国人の中には健康保険に加入していない方もいるのですが、震災直後の「災害救助法」の適用により一定期間無料で誰でも治療が受けられるにもかかわらず、医療費負担を避けるため救護所や病院に行かず、さらに傷病を悪化させてしまうかもしれません。

こうした震災時特有の制度を1つ1つ丁寧に伝えてあげなければ、被災在住外国人の生活状況はますます悪化してしまうことになります。

最後の③文化の壁についてですが、1つに「防災文化」(備えの習慣化)の欠如があります。

簡単な例で説明すると、一般の日本人であれば子供のころから日常的に避難訓練をし、地震が起きた時に取るべき行動が体に染みついているのですが、このような文化の中で育っていない外国人は適切な行動が迅速に出来ない恐れがあります。

地震⇒津波襲来の連動を知らなければ、地震発生時に海岸付近にいても高台に逃げようとしないかもしれません。

また、避難所での集団生活の中で外国人が「おにぎりをたくさん取っていく」とか「夜間騒々しい」という震災時の文化摩擦と言えるような事例が過去の国内の震災でありました。

良識ある日本人なら上記のような行動は取らないですが、外国人の出身国の文化、習慣または国民性により、そうした行動を取ってしまう場合があります。

もし、そうした相手外国人の事情を誰もが知っていれば無用な摩擦が起きずに済みます。

しかし、一般の日本人はそのようなことを知りませんので、お互いの文化的背景を知っている皆さんに是非、日本人と外国人の間に入ってコミュニケーションの橋渡し役をお願いしたいです。

ようやく結論が出ました。災害時語学サポーターの役割とは、単純な言葉の置き換え役ではなく、制度と文化の通訳者(翻訳者)となり日本人コミュニティと外国人コミュニティとの連結役を果たすことなのです。

マネージャー 吉田

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